日々の生活をより便利にしてくれるスマートスピーカー
独居のご家族にスマートスピーカー(AI搭載型スピーカー)を使った見守りを実践しているらいぶながさき会員さんがいます。
2021年インタビューは参考になる!と好評でした。今回、再びお話をお聞きしました!
こちらの会員さんにインタビューしました!
A子さん
50代。らいぶながさき会員。
80代の母たち(実母・義母)の見守りをスマートスピーカーで2年実践中
ご家族の紹介
母A
80代半ば。独居歴20年のベテラン。
社交的に日々遊びまわっている。
この2年でスマホを使いこなせるようになった。
母B
80代後半。独居歴4年。
人と会うと疲れてしまうタイプ。心臓疾患と軽度認知障害がある。
この2年で認知障害が進行。
今回使ったスマートスピーカーはこちら!
Amazon Echo Show 8/Amazon Echo Show 10
Amazonが提供する画面付きのスマートスピーカー。
通話、音楽再生、買い物、天気予報のお知らせなど様々な機能がありAI(通称アレクサ)が使用者に合わせて学習していくガジェット
\ 前回の記事はこちら /
前回の取材から、独居のお母様たちの状況に変化はありましたか?
母Aは変わりありません。毎日楽しくすごしているようです。
母Bは昨年夏ごろから徐々に認知能力が落ちてきました。
ひとりで暮らすことが難しい状態になり、今年の春から施設に引っ越ししてもらいました。今は要介護2です。施設でもアレクサは継続して設置しています。
この2年間でどのように使ってきたか教えてください
前回の取材時はどちらの母とも『通話』(テレビ電話で通話をする機能)をかけておしゃべりしたり、食事をちゃんと食べているか確認したりということに使っているとお答えしました。
母Aに関しては、今も使い方は変わりません。
携帯で電話をかけてくることも多いですが、直接見た方が分かりやすいときはお互いアレクサを積極的に使っています。
例えば、元気とはいえ高齢なので、契約関係の手続きは本人には少し難しいときがあります。書類確認をするときにはアレクサで見せてもらっています。
また、携帯に電話をかけても連絡が取れないときは『呼びかけ』機能(相手が通話を取らなくても自動的に画面をつなげて通話できる機能)で出かけているか確認しています。
アレクサの言葉の認識力が高いため、母Aはその点で助かっていると思います。
通話を切る際は「アレクサ終わり!」と言っていますし、音量が大きいときは「アレクサやかましい!」と言っています。それでもちゃんと通話は切れますし、音量は小さくなっています。多少違った言葉でも理解してくれるのでよかったです。
母Bに関しては、徐々にこちらから『呼びかけ』する使い方に変わりました。
認知機能が落ち始めてから、まず『通話』を取ることが出来なくなりました。直接会ったときに様子を見ていると、通話がかかったり、画面の写真が移り変わったりするのを不思議そうにじっと眺めている状態でした。
それからは夕方に『呼びかけ』でこちらから一方的にかけることにしました。
「おかあさーん!」と呼びかけると「はーい!」と返事をして、声が聞こえた方に見に来るといった感じで使っていました。時々、誰か訪ねてきたのではないかと玄関先に向かったりしていましたが。
その時は「夕方いつもかけてくるのを待っとるよ」と言っていましたね。
その後『呼びかけ』で様子を見た際に、ソファに横になっている姿や、夜に点灯せず暗いダイニングでぼうっと座っている姿を見かけることが増え、体重が減っているのも見て分かりました。
結果、主治医の先生からも連絡をいただいたことをきっかけにこちらに引っ越しをしてもらいました。
2年間で故障などのトラブルはありましたか?
大きな故障などはありませんでした。
母Aの方だけなぜか時々Wi-Fiとの接続が不安定になる時があり、その際はアレクサの電源を抜き差ししてもらって治しています。
母Aからは「アレクサがスト起こした!」と連絡があります。アレクサの問題なのか、Wi-Fi機器の問題なのかは分かりません。
アレクサのスマホアプリはうまく動かないことはありましたね。登録からやりなおしになったなど。大体は家にいるときにかけるので、タブレットに切り替えて話しています。
タブレットは安定して使えています。
アレクサがあって良かったと感じた出来事はありましたか?
先日、母Aのところに特殊詐欺の電話がかかってくるという出来事がありました。
上手に言い返し出来たようで、詐欺の被害にはあいませんでした。
その件をこちらから母Aの最寄りの警察署に相談し、すぐに母Aの携帯に電話と訪問をしてくださることになりました。
アレクサで「今から警察から電話があるからね」と説明している最中にちょうど電話があり、携帯のスピーカー機能で話してもらい一緒に聞いていました。
今からすぐ訪問してくださるとのことだったので、そのままアレクサで同席しました。
刑事さんが来られた時に、母Aが「家族がアレクサで同席しています」と言ったため、刑事さんもアレクサに向かって名乗られ、警察手帳を画面でしっかり見えるように映してくださり、ご理解とご対応をいただき助かりました。
母Aからの聞き取りが主でしたが、
・固定電話を詐欺対策電話に変更する場合は行政から補助金が出ること
・県警からの注意喚起をアプリで配信していること など
家族に向けての見守り情報を教えてくださったり、こちらにも確認質問や状況説明をされたりといった聞き取りになりました。
聞いているだけではなく、こちらもその場に同席しているのと変わらない状態での受け答えができ、アレクサがあって非常にあって良かったと感じた一件でした。
独居から施設での見守りへ
お母様(母B)が施設に引っ越しされた際に、Echo Show 10 に変更されたそうですね。変更した理由はどこにあるのでしょうか?
住まいが施設へ移ったことにより、部屋全体を見渡せること、トイレに行くときにも見守りが必要になったからです。
エコーショー10では、カメラをこちらから好きな方向に動かすことやズームをすることが出来ます。
また、音がした方向に自動的に画面が向く機能や、動いているものに合わせてカメラが後を追って動いていく機能も。
画面の自由な動作性に利点を感じて入居の際に変更しました。
変更して良かった点を教えてください
部屋全体を見渡せることはもちろんのこと、画質が格段にクリアになった点です。
飲み物やお菓子などはこちらで補充しているので、残量を画面である程度確認できています。これは思わぬ良かった点でした。
母Bがベッドで横になっているときに、横になっているだけなのか寝ているのか、食事をどれくらい残しているか、顔の表情まで生活の細かいところが確認できています。
エコーショー10には見守り機能が増えており、こちらのカメラやマイクをオフにしたまま様子を確認することができるようになりました。食事中に顔を見せると、こちらが気になって食べなくなるため、その機能も活用しています。
他の家族は仕事の休み時間や合間に周りを気にせず確認が出来るようになったと言っています。転びそうなときや、不安そうな顔をしているときは、こちらのカメラとマイクをオンに切り替えて声かけしています。
施設の部屋に設置するために工夫した点はありますか?
アレクサの基本設定はこれまでと変わりません。
いろんな情報が目に入ると不安になってしまうので、ニュースなどは表示しないようにしています。アレクサの普段の画面は写真をスライドショーにして流しています。
施設にフリーWi-Fiが準備されていたので、設置自体は簡単でした。
今回気がけた点は、施設の入居準備をする際に、アレクサを置くことを基準にして家具やベッドの配置を考えた点です。部屋全体が見渡せる位置に設置して、画面が動かせる範囲をなるべく広くなるようにしました。
アレクサを置く棚の高さ、食事をするテーブルやベッドの位置を工夫し、押入れは中にハンガーラックを置いて洋服をかけるようにしました。押入れのドアは外しています。
これは母Bが扉で中身が隠れると分からなくなってしまうことへの対応でもありますが、洋服が足りているか、洗濯が滞っていないかを家族が確認しやすくするためでもあります。
棚の高さを考慮したことについては、アレクサは画面の上下運動は難しいので、部屋でこけてしまった時に床に倒れた人が映ることを想定した高さにしたということです。
その後使う中で、状況に合わせて模様替えを行い、ベストの配置を考えました。
写真:施設に設置した様子
施設見守りの中で、これまでの使い方との違いを感じていますか?
今まではコミュニケーションツールかつ見守りでしたが、今は完全に見守り目的になっています。
母Bに家族の不安を理解してもらい、家族の自宅と近い距離の施設に引っ越ししてもらいました。ですが、毎日は通えないのでアレクサで目の届かないところをフォローしています。
施設に入所した当初は、母Bが慣れるまで日に何度も見守りをしていました。
今は日に1、2回程度起きているかと、施設のご飯の時間にどれくらい食べているかをみています。他の家族もそれぞれみているので非常に目が行き届いていると思います。
ヘルパーさんが入る以外の時間で見守りをしていますが、一度夜間に着衣が上手にできずに困っていたところに遭遇しました。
声かけをして促してみましたが自分ではできなかったため、ヘルパーさんに電話をしました。伝えると快くすぐ対応に来てくださったことがありました。
施設のスタッフの皆さまやヘルパーさんに、アレクサを使って見守りをしていることなど協力いただけており、ありがたく思っています。
認知障害がある母Bの生活にアレクサがあってよかったと思う点は、顔が映るところです。
誰も来ていない、ひとりぼっちだと不安になってしまうことが多々あるため『呼びかけ』で家族の顔が映ると不安そうな顔が少しやわらぎます。
施設を訪ねてくれた親戚の方とは写真を撮り、アレクサのスライドショーで流しています。「この間はあの人が来てくれたね」と写真を見ながら話すと安心した表情を見せてくれます。
この記事を読んだみなさんに伝えたいことはありますか?
前回の取材記事を読んでアレクサを導入した方がいたと聞いて驚きました。
上手に使えば本当に助かるツールだと感じています。毎日は施設にいけない、でも見守りが必要になった母Bの状況をみて特に思いました。
母Bはこの2年間で自宅から施設へと居を移しましたが、先日八十八歳の誕生日を迎え、今はゆっくりと暮らしています。
母Aは上手にアレクサを使っていますが、書類などの処理は難しい年齢です。
書類をアレクサで見せてもらったり、そこから写真を携帯で撮って送るように教えたり、本人が今まで私たちが帰った時にみてもらおうと思っていた困りごとをすぐに対応できています。
今回の取材で、独居の見守りだけでなく、施設の見守りにも利用できるツールだと伝わって、今困っているご家族の方の参考になれば嬉しいです。
ありがとうございました!
この記事に関する質問や疑問は事務局までお問い合わせください
PDFデータはこちらよりDLしてください