令和元年7月2日(火)ふらっと・ほすぴす希望のひかりにて、
医療従事者向けの学習講座 対話の壺を開催いたしました!
今回のテーマは「オープンダイアローグ」です。
先月から始まった「対話の壺」
今回も多くの方にご参加いただきました。
前回の講座で、対話とは何か、なぜ必要なのかを学びました。
今回からは対話を取り入れていくための実践的内容になります。
今回学ぶ「オープンダイアローグ」は対話を大切にする国フィンランドで生まれた治療プログラムです。
まずは、フィンランドでは対話はどういうものなのかを映像観て学びます。
現在のフィンランドでは、本人の事は本人が一番分かっているという基本姿勢が根付いています。
しかし、30年ほど前までは、教師や親からの命令は絶対という社会だったそうです。
教師や親に抑圧されて辛い子供時代を過ごした親たちが、子に同じ失敗を味わせたくないという気持ちから、徐々に対話的な教育が広まり、社会全体が対話的社会へと変わっていったそうです。
対話的社会は最初からできているわけではなく、社会全体の努力があって出来ていくものだということが分かります。
その対話的社会になる中で、フィンランド 西ラップランドのケタプダス病院が「オープンダイアローグ」を発祥しました。
「オープンダイアローグ」は、精神的疾患を持つ患者に対して、患者の生活の場での治療的ミーティングを社会的ネットワークを交えて継続して行うというシステムです。
投薬や入院のみに頼らず、対話を使うことで患者のよりよい治療プログラムを模索するために使われています。
「オープンダイアローグ」には7つの決まりがあります。
参加者や決定の基本姿勢、進め方など多岐に渡りますが、
そのどれもが本人の存在や意思を抜いた状態では決して行わないという共通点があります。
ドキュメント映像では、医師、看護師が患者宅を訪れ、会話の中から治療プログラムの方向を決める様子が録画されていました。
その中で、時には学校の教師やソーシャルワーカー、行政の福祉課、警察など様々な人が関わって治療を行っていました。
本来は、精神疾患を持つ患者のための治療なので、全く同じようにとはいきませんが
対話のあるべき姿や実際の進め方は、医療に携わる専門職にとって学ぶ点が大きかったようです。
さて、ここまでを踏まえて、対話を行うためのツール「オープンダイアローグ」は多職種連携チームの在宅医療においては、ぜひ取り入れていきたいものだという事が分かりました。
そして、取り入れるためには、まず私達が対話を行うスキルを身に着け、チームを対話できる方向に作っていく必要があります。
今回の講座では、まず「オープンダイアローグ」の基本姿勢
患者の話を聞く、傾聴のスキルを学びました。
本人が「体感している世界」を感じるために必要な「対話のことば」は9つあります。
起こっている問題について理解しようとしている時
その状況において私たちは何をしてしまいがちなのか。
そこをどういう姿勢や態度を使うべきか。
それによってどのような結果が得られるかを学びました。
当たり前に思えることでも、どういう結果をもたらすかを理解して出来ているかと言われると難しいものです。
しかし、自分の姿勢や態度が相手にどういった状況や結果をもたらすのか分かったうえで、話を聞く事ができると、今までとは全く違った関係性や方向性が生まれてきそうです。
最後はその9つの「対話のことば」を念頭に置いて、2人組でロールプレイを行いました。
片方が、「人生で一番つらかったこと」を話し、もう片方がそれを聴きます。
どのような姿勢で聴くか、どういった反応を返すか、どういった言葉を返すか、「対話」になるよう考えながら行いました。
交代して、今度は「最近、腹が立ったこと」でロールプレイを行いました。
教材を見ながら、どうにか「対話のことば」を使いながらお互い話を聴いていきます。
かなり難しいロールプレイとなりました。
今回学習した9つの「対話のことば」は次回講座までの宿題です。
患者やその家族と話すとき、話を聴くときに、意識して「対話のことば」を使ってみてください。その基本姿勢が定着したら、次回はいよいよ実践編です。
今回の講座を受けられなかったが、次回から学びたい方はぜひご連絡ください。
次回もお楽しみに!